
M&A(買手)
M&A(売手)
買収価格が高額に。
スキームを工夫し
税務メリットを享受
普通の株式譲受けでは「のれん代」は子会社株式の取得原価に含まれたまま。この「のれん代」を償却し節税する方法が。
CASE STUDY 実際の事例
消費財の小売業を営むA社(買手企業)は、小口配送業者B社の買収を検討していました。
ところが、B社は元々収益性が高い上に、A社とのシナジーも期待されたことから、想定買収価格はB社の純資産価額を大きく超える水準に膨らんでいました。
いくらB社の収益性が優れているとは言え、A社にとっては決断に躊躇する金額でありました。

SOLUTION 弊社による解決
弊社がA社(買手企業)のFA(財務アドバイザー)として起用された当初は、通常の株式譲受けのスキームが想定されていました。しかし、通常の株式譲受けでは、多額の「のれん代」を踏む買収価額がA社のバランスシートに子会社株式として計上されるのみで、連結ベースではのれん償却は費用になるものの、収益性の高いB社での税流出は今後も止められません。
そこで、弊社は、通常の株式譲受けスキームに変えて、「現金対価の吸収分割スキーム」を提案しました。すなわち、A社が予め受け皿会社を設立しておき、買収代金もその受け皿会社に融通しておきます。そして受け皿会社が現金を対価とした吸収分割によりB社の事業を承継するのです。こうすることで、受け皿会社に計上された多額の「のれん代」は、税務上、非適格組織再編に伴う資産調整勘定となり、その後5年間で損金算入が可能となります。高収益ゆえの税流出が問題視されていたB社事業について、その問題がクリアされることになりました。
敢えて非適格組織再編とすることで税務メリットを享受する本スキームにより、A社には投資余力が増し、無事、本M&A取引を成立させることが出来ました。
POINT 気をつけたいポイント
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必ずしも 非適格組織再編=デメリット ではない
対価として現金を手にする売手にとってはどっちでもいい話ですが、受け入れ資産が時価評価されてしまうため敬遠されがちな非適格組織再編を敢えて選択する方が買手にとってメリットがあるケースがあります。のれん代が税務上の損金になるのは大きいです。 -
売り手にとって許容できるスキームか
本件のような吸収分割スキームでは、売手にB社という抜け殻会社が残るため、その清算処理に多少の手間を要します。買手にとってメリットのあるスキームでも、売手に多少なりともコストが掛かる場合は、売手が許容し得る範囲かどうか慎重に検討すべきです。 -
必ず税務専門家にご相談を
組織再編税制は大変複雑で、頻繁に改正もされます。国税庁に問い合わせても明確な回答を得ることは期待できません。取り返しの付かないことにならないよう、こうしたスキームの検討には、早い段階で経験豊富な税務専門家を入れることが重要です。