私どもは、企業の社会的意義を見出し、その存続・発展のため、変革を導き、経営再建そして再成長への足掛かりを掴むまで全面的にサポート・バックアップしております。

資金繰り悪化局面における緊急対応から、再建計画の策定、金融機関との融資継続・金融支援交渉、計画の着実な実行を経て正常化に至るまで、私どもの豊富な業務経験・ノウハウをフル動員した質の高いトータルサポートが可能です。

事業再生が必要とされる局面

事業再生が必要とされる局面はいくつかあります。悪化の程度が浅いうちに着手すれば、打ち手も多く、再生に伴う痛みも少なくて済みますが、こうした局面では企業様ご自身でも、また金融機関においてもまだまだ危機感が醸成されにくいのが実際のところです。

多くの場合、財務状態の深刻な毀損資金繰りの悪化が表面化して初めて私どものような外部アドバイザーにご相談をいただきますが、私どもは、どのような局面であっても、企業様が直面する問題に対して適切に対処してまいります。

 

事業再生の基本ステップ

事業再生の対処方法はケースバイケースですが、ここでは、資金繰り破綻のリスクに瀕している企業が金融機関に何らかの支援を求める場合の一般的な進め方をご紹介します。

  1. 緊急対応
  2. 現状把握
  3. 再建計画(案)の策定
  4. 関係者調整、同意の取得(計画の成立)
  5. 計画の実行、モニタリング、正常化

 

Step 1. 緊急対応

資金繰りが悪化し、仕入先・金融機関等に対する支払いが滞る恐れが生じた場合は、とにかく資金繰りの安定化を図らなければなりません。まず、向こう数か月から1年程度の資金繰りを精査し、メインバンクを始め取引金融機関に返済の一時停止(暫定的な約定返済のストップ、融資残高の維持)を依頼します。また、場合によっては、事業継続に必要でない資産を処分し資金化を図るなど、資金繰りを繋ぐための資金捻出策も検討しなければなりません。

(実施・検討すべき事項)

  • 向こう数か月から1年程度の資金繰りの精査
  • 金融機関への一時停止の依頼
  • 資産処分等による資金捻出策の検討

私どもは、企業の生命線である資金繰りを客観的な目線で精査した上で、返済のリスケジュールに向けて取引金融機関との折衝をサポートいたします。

 

Step 2. 現状把握

ひとまず資金繰りを安定化させた後は、本格的な再建計画の策定のため、まずは企業の業績・財務状況の精査、そして事業環境の分析を行う必要があります。経営者ご自身も、また長年の取引実績のあるメインバンクも、自社或いは融資先企業の事業の実態を正しく掴めていないケースはよくあります。

実施・検討すべき事項

私どもは、この現状把握のステップにおいて、以下の事項を実施・検討します。

財務・税務デューデリジェンス

  • 過年度の損益計算書、貸借対照表を詳細に分析し、企業の損益構造・正常収益力を把握するとともに、実態バランスシートを作成します。(企業グループが複数の法人で構成されている場合は、簡易的に連結財務諸表を作成するなど、グループ全体での実態把握も必要となります。)
  • 過年度の税務申告書、納税状況、税務調査の状況をレビューし、税務ポジションを把握します。

将来見通しの作成

  • 過年度の業績の趨勢、足元の事業環境に基づき、このまま何の対策も打たなかった場合の将来見通し(いわば「成り行き」ベースの将来見通し)を作成します。
  • ここで、財務三表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書)のExcelモデルを併せて作成します。
    (単なる損益予測にとどまらず、貸借対照表やキャッシュフロー計算書と連動したモデルとすることで純資産やキャッシュの見通しも可視化でき、また、何よりもその後の再建計画(数値計画)策定の基礎とすることができます。)

経営上の問題の把握とその真因の特定、対処すべき課題(仮説)の設定

  • 事業再生が必要となった企業には、必ず、経営危機に至った原因(窮境要因)が存在します。それが何であるかを突き止め、対処すべき課題(仮説)を設定します。
    (通常、複数の役員・従業員・その他の関係者からのヒアリングを実施しながら検討を行います。)

 

上記3つの検討項目は、Step 3.で策定する再建計画の土台となるものであり、特に以下の点において極めて重要となります。

財務・税務デューデリジェンス
 ⇒ 再建計画(数値計画)の発射台(出発点)となります。ここがずれているとゴール(目標)が正しく設定されません。

成り行きベースの将来見通し作成
 ⇒ 再建計画(数値計画)をロジカルに積み上げ方式で作成するための基礎となります。

窮境要因の特定と課題の設定
 ⇒ 再建計画で何をするか。計画に盛り込む「施策」の検討の基礎となります。

 

Step 3. 再建計画(案)の策定

次にいよいよ再建計画(案)を策定します。通常は、「経営改善計画(案)」「事業再生計画(案)」等のタイトルで、PowerPointプレゼンテーション又はWord文書により作成します。計画書に盛り込むべき内容は一般的には以下の通りです。

  1. 事業の概況(会社概要、過年度の業績、業界・市場動向)
  2. 窮境に至った経緯(事業再生が必要となるに至った背景・問題点・要因、どのような財務的影響があったか)
  3. 経営成績・財務状況の実態(過年度の正常収益力、実態バランスシート、成り行きベースの将来見通し)
  4. 経営再建の方向性と経営改善施策(この計画で何をするか(各種リストラ施策、損益改善施策)、各施策の財務的効果)
  5. 数値計画(案)(成り行きベースの将来見通しに経営改善施策を上乗せした財務三表を示す)
  6. 金融機関へのご依頼事項と返済計画(今後の返済条件・金利等の取り扱い、場合によっては金融支援(債権放棄等)のご依頼)
  7. 経営責任(今回の金融機関へのご依頼に伴う責任をどのように取るか(役員報酬カット・個人資産処分による内入れ・辞任など))
  8. その他(金融支援(債権放棄等)をご依頼する場合は、破産や民事再生など法的整理によった場合の配当率等をシミュレーションし、今回のご依頼が債権者(金融機関)にとって経済合理性に適っていることをサポートする必要があります。)

(策定上のポイント)

  • 上記1.~3.については Step 2.にて検討済みですので、計画書として纏めるだけになります。上記「4. 経営再建の方向性と経営改善施策」すなわち、どう再建するか具体的にこの計画で何をするかが再建計画の肝となる部分ですが、これもStep 2.の対処すべき課題(仮説)の設定で大枠は出来ているため、これらを具体化し、効果を定量化してゆくことになります。
  • 「5. 数値計画(案)」は、基本的には、Step 2.で作成した成り行きベースの将来見通しに、「4. 経営再建の方向性と経営改善施策」で定量化した施策効果額を上乗せして作成します。こうして再建計画の計画数値を「成り行き」と「施策」に明確に区分することで、その後の計画実行のフォーローアップ、モニタリングが格段にし易くなります。
  • 「6. 金融機関へのご依頼事項と返済計画」以下については、最終的には、すべての金融機関からの同意が得られる内容としなければなりませんが、計画(案)策定の段階では、まず最大の債権者であるメインバンクと相談しながら策定していきます。

私どもは、経営改善施策による効果の定量化のサポート、Excelモデルによる数値計画(財務三表)の策定、メインバンクとの折衝を含む計画(案)全体の取り纏めをリードいたします。

 

Step 4. 関係者調整、同意の取得(計画の成立)

こうした何らかの支援のご依頼を含む再建計画は、すべての債権者(金融機関)の同意により成立し、効力が生じます。上記Step 3.でメインバンクと相談しながら策定した再建計画(案)について、今度はメインバンク以外の金融機関(いわゆる他行)の同意を取得すべく、その内容・合理性を説明しなければなりません。

説明の方法はいくつかありますが、①「債権者集会を開催し概要を説明」 ②「個別に金融機関を訪問し質疑応答・改めて同意の依頼」 をセットで実施するのが一般的です。難しい案件では、②の個別説明を何度も実施しなければならなかったり、場合によっては、特定の金融機関に同意いただくために、計画(案)の修正を余儀なくされ、それにより全金融機関への再説明が必要となるケースもあります。

私どもは、他行調整が必要となる非常にデリケートな案件を数多く経験しております。こうした経験・ノウハウを活かし、全行同意による再建計画の成立を主導していきます。

 

Step 5. 計画の実行、モニタリング、正常化

再建計画が成立して終わりではありません。計画で金融機関に約束した内容(改善施策、業績、返済計画など)を実行して行かなければなりません。そのために、計画策定後のモニタリングが重要となります。

(モニタリングのポイント)

  • モニタリング体制の構築(金融機関への報告フォーマットの制定、報告頻度、モニタリング会議の開催など)
  • 施策の実行状況、その結果としての財務数値のチェック
  • 施策の実行が企業様のみで十分可能かどうか。場合によっては第三者の支援が必要

策定した計画をやり切ることは、一義的には金融機関のためではなく、当事者である企業様ご自身のため、企業様ご自身がその社会的意義・社会的責任を全うするために必要不可欠であると考えております。私どもは、再建計画を策定した企業様と伴走しながら、施策の実行・数値計画の達成を全面的にサポートいたします。

 

上記は事業再生の進め方の一例です。実際の進め方・検討ポイントはケースバイケースですので、どうぞお気軽にご相談ください。