中小企業にとっての「税理士との付き合い方」として、以前のブログで紹介した「自計化」か「記帳代行」かという選択のほかに、「訪問の頻度」があります。
この、税理士・会計事務所がお客様企業を訪問する「頻度」については、数か月に一度というケースもありますが、大きくは「毎月」と「年一回(決算時のみ)」とに分かれます。
個人事業主やごく小規模の事業者は、とかく「うちは小さいから毎月見てもらう必要は無い。年一回で十分。」となりがちです。しかし、「年一回(決算時のみ)関与」には様々なデメリットがあります。
年一回(決算時のみ)関与のデメリット
(企業側のデメリット)
- 期中の業績・財務状態が分からないため、タイムリーな経営判断が行えない
- 期中ずっとモヤモヤしたまま、勘に頼った経営しかできない
- 実は発生している問題に気付かないため、経営改善への取り組みが後手に回る
- 目標を立て、達成しようというモチベーションが湧かない
- 月次試算表が作成されないため、金融機関からの借入れがしにくい
- 納税予測は困難。納付期限間際にならないと納税額が判明しない
- 期中何かあっても気軽に税理士に相談できない
年一関与の場合、税理士報酬は比較的安く済むかもしれませんが、このように多くのデメリットがあることを認識しておかなければなりません。特に、一年分まとめて記帳代行を依頼しているといったケースでは、期中、自社の状況がまったく分からないまま事業を行っていることになります。例えて言うなら、地図もコンパスもスマホも持たず、森の中をさまよっているようなものです。想像するだけで怖いですよね。それではとても「経営」とは言えず、残念ながら成長・発展は見込めません。
一方、年一関与には、会計事務所側にもデメリットがあります。
(会計事務所側のデメリット)
- 決算時に一年分をまとめて見なければならないため、短期に多大な労力を要する
- 年一のお客様は「記帳代行」がほとんど。税務調査が入った場合に会計事務所側に責任を押し付けられるリスクがある
- 期中見ていない/経営者とも充分なコミュニケーションが取れていないため、企業の状況を把握できない
- そのため、必要な経営アドバイスや伴走支援が行えない
このうち、当事務所で一番残念と感じるのが最後の「必要な経営アドバイスや伴走支援が行えない」です。決算時のみの年一回ですと、どうしても浅い関与になってしまい、経営課題になかなか気付けずアドバイスできないか、気付けたとしてもそれをフォローする伴走支援ができないからです。経営課題は企業によって様々で、例えば、事業ごとの採算性、設備投資、新規事業・新規出店、資金調達、従業員の採用・待遇、社内のITシステム、現場オペレーションなど多岐に渡ります。限定的な関与の場合、こうした問題にほとんどタッチできないのが私たち会計事務所にとって本当に もどかしいと感じます。
当事務所では、「月次関与」を基本とし、毎月訪問による「月次巡回監査」を行っています。
当事務所の「会計・税務顧問サービス」では、原則として毎月お客様企業を訪問させていただき月次巡回監査を実施することを基本としております。
月次巡回監査で実施すること
- 旬な情報の提供
- 直近の業況に関するヒアリング
- 帳簿、証憑書類のレビューと修正のアドバイス
- 月次決算の締め
- 決算着地及び納税額の予測と経営者への伝達(下期以降)
- 予算・実績の比較を踏まえた経営者との協議
- 事業の将来見通しなどのヒアリング
月次巡回監査の所要時間は、企業規模や自計化の熟達度により異なりますが、概ね3時間というのが標準です。
- 当事務所の場合、まず、毎月発行している「事務所通信」という小冊子を用いて月々の旬な情報提供を行います。諸々の制度改正の内容や黒字決算のためのポイント、金融機関との付き合い方など経営に役立つトピックをご紹介しております。
- 次に、社長様に最近の業況などを伺いながら、帳簿や証憑書類のチェックを行います。チェックの過程で必要な修正のアドバイスなどをさせていただきます。
- チェックを終え、月次がほぼ固まった段階で、社長様と一緒に業績のレビューを行います。期初に立てた予算と比較しながら、差異の要因などをヒアリングしていきます。
- 事業年度のうち8か月か9か月が経過すると、通期の予測が可能となりますので、決算及び納税額の予測を行い、社長様にお伝えします。
- その上で、期末まで(或いは翌期以降)の見通しを伺うとともに、必要な決算対策について議論させていただきます。
こうした「月次巡回監査」を毎月続けていくと、社長様の「経営に対する感度」は間違いなく上がります。そして、「予算達成」「黒字決算」への意欲もアップします。ひいては、会社がどんどん強くなり、どんどん良い会社になってゆくのです。本当です!
私ども税理士法人サステナブレインは、「会計・税務顧問サービス」の基礎となる「月次巡回監査」を原則としてすべての企業様に実施していくことを方針としております。そして、企業様の黒字経営と健全な成長・発展をサポートしております。
キーワード/キーセンテンス
- 年一決算では会社は強くなりません
- 毎月訪問することに意味があるのです
- 月次巡回監査で社長様の経営力がアップ、会社も強くなります
「月次巡回監査」についてのショート・ムービーをごらんください。